
みなさん、こんにちは!
毎週水曜日のお楽しみ、『かんさい情報ネットten.』の人気名物コーナー「若一調査隊」。
今日オンエアされた内容は、若一光司先生と五十嵐アナが、京都・嵐山の喧騒を抜けた先に広がる「昭和の大スターの凄まじい執念」の深淵に突撃する、知的興奮マックスの感動回でした!
今回の舞台は、嵐山の「竹林の小径」を抜けた先にひっそりと佇む至宝。
【大河内山荘庭園(おおこうちさんそうていえん)】です。
■ 6000坪に刻まれた、名優の「執念」と「汗」
伝説の映画『丹下左膳』で一世を風靡した昭和の大スター・大河内傳次郎。
彼が自らの莫大な私財(ギャラ)をすべて投げ打ち、30年もの歳月をかけて独力で作り上げたのが、この約6000坪に及ぶ「魂の庭園」です。
門をくぐった瞬間に、空気が一変します。
南東の斜面を巧みに活かし、木1本、石1つの配置にまで傳次郎のこだわりが100点満点、濃縮されています。驚くべきは、彼が撮影の合間に毎日ここへ通い、自らスコップを握って土木作業に汗を流したという事実。「銀幕のスター」が「一人の庭師」として人生を捧げた場所なのです。
■ 石の専門家もうなる「結界」と、一滴の水に宿る教え
医者の家庭に生まれ、1925年に活動写真の世界へと飛び込んだ傳次郎。
それまでの「白馬に乗った正義の味方」というヒーロー像を覆し、ニヒルで強烈な個性を放つ『丹下左膳』で日本中を熱狂させました。若一先生も「子供の頃、父親に連れられて映画館で観たんですよ」と、そのカリスマ性をエモーショナルに語っておられました。
庭園内を進むと、そこはまさに俗世を断つ「結界」。
東西の見事な借景、そして「加茂七石(かもしちせき)」などの名石が随所に配置され、石の専門家が来たら腰を抜かすほどのクオリティを誇ります。
特に心に響いたのは、茶室「滴水庵(てきすいあん)」に伝わる教えです。
「1滴の水を捨てることは殺生と同じ。木々にかけてやれば生き返る」。
すべての生命を慈しむこの深い慈愛の精神が、庭園の隅々にまで「優しさ」として流れているのを感じずにはいられません。
■ 「贅沢は敵」の時代に貫いた、職人たちへの「無償の愛」
傳次郎がなぜ、これほどまでに巨大な建築物や庭にこだわったのか。
映画という「いずれ消えていく美しさ」に儚さを感じた彼は、「不滅の、日本的な価値を遺したい」と願ったのです。
そうして建てられたのが、寝殿造・書院造・数寄屋造り、さらには民家の要素までを見事に融合させた奇跡の建築「大乗閣(だいじょうかく)」。
しかし、建設当時は戦中・戦後の物資不足。「贅沢は敵だ」と世間が叫ぶ中、傳次郎はあえて工事を止めませんでした。
その理由は、胸が熱くなるほど高潔なものでした。
「仕事がなくなり、困窮していく職人たちの腕を発揮する場を守り、彼らが食べていけるようにしたい」。
大スターの器の大きさと、時代に抗うガッツ。この庭園は、職人たちの命を救った「救済の聖地」でもあったのです。
■ 京都を飲み込む、圧倒的な「パノラマ借景」
庭園を登り詰め、東側のビュースポット「月香(げっこう)」に立った瞬間、言葉を失う絶景が広がります。
比叡山、大文字山、仁和寺、そして遠く京都タワーまでが一望できる、まさに100点満点の借景! 傳次郎がかつて「桜雲(おうん)」と呼んだその景色は、まるで京都の街すべてを庭の一部にしてしまったかのようなスケール感です。
流行り廃りの激しい現代だからこそ、一人の男が命と私財をかけて遺した「不滅のレガシー」に触れる時間は、心がスカッとろ過されるような至高の体験でした。
京都・嵐山を訪れた際は、ぜひこの「魂の避難所」へ足を運んでみてください。
傳次郎が30年かけて伝えたかった「本当の贅沢」の意味が、そこにはあります。
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